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特定商取引法に基づく

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特定商取引法の規制対象となる「通信販売」

1.販売形態(法第2条)
(Updated July 20, 2022)

 

「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者(※1)が「郵便等」(※2)によって売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品、、権利の販売又は役務の提供のことをいいます。

解説

例えば、新聞や雑誌、テレビ、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む)などによる広告や、ダイレクトメール、チラシ等を見た消費者が、郵便や電話、ファクシミリ、インターネット等で購入の申込みを行う取引方法をいいます(ただし、「電話勧誘販売」に該当する場合は除きます。)。

※1「販売業者又は役務提供事業者」とは、販売又は役務の提供を業として営む者を意味します。業として営むとは、営利の意思を持って、反復継続して取引を行うことをいいます。なお、営利の意思の有無については、その者の意思にかかわらず、客観的に判断されることとなります。上記要件に該当すれば、個人でも特定商取引法上の「販売業者又は役務提供事業者」となります。また、インターネット・オークションにおける出品者が「販売業者」に該当するかどうかの考え方については、「インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン」を御参照ください。

 

※2「郵便等」には、郵便又は信書便、電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理に用いられる機器を利用する方法、電報、預金又は貯金の口座に対する払込みのいずれかであれば該当します。


2.特定権利

特定権利とは、以下の権利をいいます。

  • 施設を利用したり、役務の提供を受ける権利のうち、国民の日常生活に関する取引において販売されるものであって政令で定められているもの

  • 社債その他の金銭債権

  • 株式会社の株式、合同会社、合名会社若しくは合資会社の社員の持分若しくはその他の社団法人の社員権又は外国法人の社員権でこれらの権利の性質を有するもの

  • 一覧を見る



3.適用除外(法第26条)

以下の場合等には、特定商取引法が適用されません。

  • 営業のため、又は営業として締結するもの

  • 海外にいる人に対する販売又は役務の提供

  • 国、地方公共団体が行う販売又は役務の提供

  • 特別法に基づく組合、公務員の職員団体、労働組合がそれぞれの組合員に対して行う販売又は役務の提供

  • 事業者がその従業員に対して行う販売又は役務の提供の場合

  • 株式会社以外が発行する新聞紙の販売

  • 他の法令で消費者の利益を保護することができる等と認められるもの(例:金融商品取引法に基づき登録を受けた金融商品取引業者が行う販売又は役務の提供)

 

通信販売に対する規制

【行政規制】

1.広告の表示(法第11条)

通信販売は、隔地者間の取引であり、販売条件等についての情報は、まず広告を通じて提供されます。そのため、広告の記載が不十分であったり、不明確であったりすると、後日トラブルを生ずることになります。そのため特定商取引法は、広告に表示する事項を次のように定めています。

  • 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)

  • 代金(対価)の支払時期、方法

  • 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)

  • 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容

  • 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)

  • 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号

  • 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名

  • 事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であって、国内に事務所等を有する場合には、その所在場所及び電話番号

  • 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額

  • 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容

  • いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境

  • 契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件

  • 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容

  • 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額

  • 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス

通信販売における各表示事項についての詳細な説明はこちらをご覧ください。

通信販売広告Q&Aはこちらをご覧ください。

・広告の表示事項を省略できる場合

広告の態様は千差万別であり、広告スペース等も様々です。
したがって、これらの事項を全て表示することは実態にそぐわない面があるので、消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面(インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、下の表のとおり、広告の表示事項を一部省略することができることになっています(法第11条ただし書)。
なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。 例えば、インターネット・オークションにおいては、通常、短期間の申込みの期間が設定されており、その直前に多数の者が競い合って申込みをすることも 多いため、「遅滞なく」提供することは困難であると考えられます。

※また、通信販売における売買契約の申込みの撤回等についての特約(返品特約)がある場合はその内容(返品の可否、返品の期間等条件、返品に係る費用負担の有無)に係る事項の省略が認められないことから、「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」を参考に表示を工夫するように求めています。更に、インターネット通販の場合には、最終確認画面においても表示することを定めています(法第15条の3ただし書、省令第16条の3)。

2.誇大広告等の禁止(法第12条)

特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するため、表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。

3.未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法第12条の3、法第12条の4)

消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送信することを、原則禁止しています(オプトイン規制)。

この規制は、通信販売事業者(販売業者又は役務提供事業者)のみならず、通信販売電子メール広告受託事業者も対象となります。したがって、当該電子メール広告の提供について、消費者から承諾や請求を受けた場合は、最後に電子メール広告を送信した日から3年間、その承諾や請求があった記録を保存することが必要です。以下のような場合は、規制の対象外となります。

  • 契約の成立、注文確認、発送通知などに付随した広告
    契約内容や契約履行に関する通知など、重要な事項を通知するメールの一部に広告が含まれる場合

  • メルマガに付随した広告
    消費者からの請求や承諾を得て送信する電子メールの一部に広告を記載する場合

  • フリーメール等に付随した広告
    インターネット上で、無料でメールアドレスを取得できるサービスで、無料の条件として、利用者がそのアドレスからメールを送ると、当該メールに広告が記載されるものなどの一部に広告を記載する場合

 

4.未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(法第12条の5)

消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者がファクシミリ広告を送信することを、原則禁止しています(オプトイン規制)。

当該ファクシミリ広告の提供について、消費者から承諾や請求を受けた場合は、最後にファクシミリ広告を送信した日から1年間、その承諾や請求があった記録を保存することが必要です。以下のような場合は、規制の対象外となります。

  • 契約の成立、注文確認、発送通知などに付随した広告
    契約内容や契約履行に関する通知など、重要な事項を通知する通信文の一部に広告が含まれる場合

  • FAXマガジンに付随した広告
    消費者からの請求や承諾を得て送信するファクシミリの一部に広告を記載する場合

 

5.特定申込みを受ける際の表示(法第12条の6)

事業者(販売業者若しくは役務提供事業者又はそれらの委託を受けた者)が定める様式等に基づき申込みの意思表示が行われる場面において、消費者が必要な情報につき一覧性をもって確認できるようにするとともに、不当な表示が行われないよう規制しています。

対象となる「特定申込み」には、以下の申込みを行う場合が該当します。

 

A.事業者が作成した所定の様式の書面に沿って消費者が注文内容を記入し、通信販売の契約の申込みを行う場合

 

B.インターネットを利用した通信販売において、契約の申込みを行う場合

「特定申込み」に該当する通信販売においては、申込書面(上記Aの場合)や最終確認画面(上記Bの場合)に、以下の事項を表示するよう定めています。

  • 分量

  • 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)

  • 代金(対価)の支払時期、方法

  • 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)

  • 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容

  • 契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合はその内容を含む。)

また、契約の申込みとなることを誤認させるような表示や、上記の事項について誤認させるような表示を禁止しています。

詳細については「通信販売の申込み段階における表示ついてのガイドライン」をご覧ください。

6.前払式通信販売の承諾等の通知(法第13条)

消費者が商品の引渡し(権利の移転、役務の提供)を受ける前に、代金(対価)の全部あるいは一部を支払う「前払式」の通信販売の場合、事業者は、代金を受け取り、その後, 商品の引渡しに時間がかかるとき(※)には、その申込みの諾否等、以下の事項を記載した書面を渡さなければなりません。

  • 申込みの承諾の有無(代金(対価)を受け取る前に申込みの承諾の有無を通知しているときには、その旨。なお、承諾しないときには、受け取ったお金をすぐに返すことと、その方法を明らかにしなければならない。)

  • 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号

  • 受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときには、その合計額)

  • 当該金銭を受け取った年月日

  • 申込みを受けた商品とその数量(権利、役務の種類)

  • 承諾するときには、商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)(期間又は期限を明らかにすることにより行わなければならない)

 

※商品の引渡時期等について、遅滞なく申込みに係る商品を送付する場合の「遅滞なく」とは、取引の実態からみて1週間程度である。

 

7.解除妨害のための不実告知の禁止(法第13条の2)

通信販売の契約の申込みの撤回又は解除を妨げるために、申込みの撤回・解除に関する事項や契約の締結を必要とする事情に関する事項について、事実と違うことを告げることを禁止しています。

8.契約解除に伴う債務不履行の禁止(法第14条)
通信販売において売買契約の申込みの撤回等ができることから、契約当事者双方に原状回復義務が課された場合、事業者は代金返還など債務の履行を拒否したり、遅延したりすることを禁止しています。

9.顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止(法第14条)

特定商取引法では、インターネット通販において、申込みをする際、消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ、 訂正できるように措置していないことを「顧客の意に反して」契約の申込みをさせようとする行為として禁止し、行政処分の対象としています。

          

詳細については「通信販売の申込み段階における表示ついてのガイドライン」をご覧ください。


10.行政処分・罰則

上記のような行政規制に違反した事業者は、業務改善の指示(法第14条第1項)や業務停止命令(法第15条第1項前段)、役員等の業務禁止命令(法第15条の2第1項)等の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなります。

 

【民事ルール】

11.契約の申込みの撤回又は契約の解除(法第15条の3)

通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります。


12.契約の申込みの意思表示の取消し(法第15条の4)

事業者が、特定申込みを受ける際、以下のような表示をした(しなかった)ことにより、消費者がそれぞれ以下のような誤認をすることによって特定申込みの意思表示をしたときには、その意思表示を取り消すことができます。

  • 法第12条の6第1項の表示義務に違反して不実の表示がなされた場合であって、その表示が事実であると誤認した場合

  • 法第12条の6第1項の表示義務に違反して表示がなされなかった場合であって、その表示されていない事項が存在しないと誤認した場合

  • 法第12条の6第2項第1号で禁止される表示がなされた場合であって、書面の送付や情報の送信が申込みとならないと誤認した場合

  • 法第12条の6第2項第2号で禁止される表示がなされた場合であって、表示事項について誤認した場合

13.事業者の行為の差止請求(法第58条の19)

事業者が以下の行為を不特定かつ多数の者に、現に行い、又は行うおそれがあるときは、適格消費者団体は、事業者に対し、行為の停止若しくは予防、その他の必要な措置をとることを請求できます。

  • 誇大広告等をする行為

  • 特定申込みに係る書面や映像面において、表示をしない行為又は不実の表示をする行為

  • 特定申込みに係る書面や映像面において、誤認させるような表示をする行為

  • 契約の申込みの撤回又は解除を妨げるため、事実と違うことを告げる行為

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